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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

新型コロナ感染症対策に見る現場の重要性と情報提供

            しがNPOセンター

                  代表理事 阿部 圭宏



 新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらない。政府の混乱ぶりもひどい状況になっている。10年以上も前に、鳥インフルエンザから新型インフルエンザが発生する可能性が指摘され、パンデミック(感染爆発)を引き起こすと騒がれ、国も自治体もその対策を検討してきたはずだが、当時の検討状況は役に立っているのだろうかと思ってしまう。本当にパンデミックが起こったら、この国は崩壊してしまうだろうと思わざるを得ない。


 グルーバル化が進む中、たとえ島国であっても、ウイルスを完全に防御するのは難しいし、実際に感染源の分からない感染者も出ている。こうしたことは、初期段階で十分予見できたはずだが、今回の政府の対応は、感染そのものを大したことはないと考えていたようにさえ思えてしまうほどのひどい状況だ。明確な方針のないままに、クルーズ船に留め置かれた人たち、先頭に立って状況を説明する首長の姿を見るだけでも、何だか申し訳ない気持ちになってしまう。


 市民を不安に苛まれているときに、政府としては、感染拡大を防止することが第一義だとしても、市民の不安を少しでも取り除くことに注力することが必要だ。そういう意味では、自治体、病院、学校などの現場で対応している人たちがしっかりと動いてくれることが重要で、政府としてはそのための現場支援に全力を尽くすべきだ。





 ところが、何といきなり打ち出したのが、学校の一斉休校要請やイベント自粛要請である。要請と言いながらも、なかなかこれに逆らうことは大変だ。要請が実際には強制につながり、市民の不安を増幅させるだけでなく、本来政府が支えるべき現場に対するハシゴ外しの行為だとも言える。学校へ行けない子どもはどうするのか。学童保育・保育所・幼稚園は学校以上にリスクがあるようにも思えるが、それはどうするのか。休業を余儀なくされた事業者に対する援助はどうするのか。こうした疑問はいくつもあるが、ていねいに制度設計されたものでもなく、今回の要請が単なる思い付きであったらこんな迷惑で背信的な行為はない。


 マスクや消毒液の不足も深刻だ。政府は増産しているので、そのうち行き渡るという態度しか示していない。このままいけば、増産されても市中になかなか出回らない状況が続き、市民の不安を日々増殖させていくだろう。例えば、マスクがない場合はどうすればよいのか。政府には、まず、市民のこうした不安を取り除くための情報提供もしっかりと行ってもらいたい。

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