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戦後80周年を迎えて何をすべきか考える

  • 執筆者の写真: 代表 しがNPOセンター
    代表 しがNPOセンター
  • 9月1日
  • 読了時間: 4分

  しがNPOセンター                      

                代表理事 阿部 圭宏


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 戦後80周年を迎えて何をすべきか考える


 今年(2025年)は戦後80周年の節目の年だ。戦争世代がだんだん少なくなる中で、今を生きる我々は何をすべきかを改めて考えたい。


 1931年に起こった満州事変(柳条湖事件)以来、明確な戦略のないまま戦線が拡大され、中国だけでなく負けると分かっていた米英との対戦はだんだん深みにはまり、沖縄戦、各地への絨毯爆撃や原爆投下をもって、1945年8月にようやくポツダム宣言を受諾するに至った。15年にわたるアジア太平洋戦争の敗戦によって、とりあえずの平和意識は根付いたものの、中国、韓国をはじめとするアジア諸国への差別意識は、明治以降のこの国の人たちには宿痾のように刻み込まれている。


Branch大津京芝生ひろば(筆者撮影)
Branch大津京芝生ひろば(筆者撮影)

 50年体制と言われる自民党政権が続いていた中、1993年にできた連立政権で、細川首相が初めて「侵略」「植民地支配」を認めた。阪神淡路大震災が起こった1995年は戦後50周年で、村山首相は国内的にも国際的にもけじめをつけ、21世紀の展望に道を開くことを内閣の役割と考えた。国会では、「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」が与野党251人の議員が欠席する中、衆議院で可決されたものの参院での決議は見送られた。


 こうした政治の流れの中で出されたのが村山談話[1]である。閣議決定を経て8月15日に発表された談話には、「国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」「疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明」し、「深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し」など、画期的な内容を含んでいて、この談話によってやっと戦後は終わったのだという認識が広がった。


 2005年の小泉談話[2]は村山談話をほぼ踏襲しているが、2015年の安倍談話[3]では村山談話の4つのキーワード「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」「おわび」は盛り込まれているものの、直接的な表現ではなく間接的な言い回しになっている。これをどう評価するかだが、これまでの安倍の言動を見ていると、間接的とは言えここまで踏み込んだのは一定の評価ができるという見方もあった一方、結局、誰にも謝っていないではないかという批判もあった。世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければならないとしつつも、あの戦争に何ら関わりのない世代に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないとしたことは禍根を残したではないか。


青空を背景にコブシの赤い実(筆者撮影)
青空を背景にコブシの赤い実(筆者撮影)

 これまで3回に渡り出された談話に対し、石破首相は先の大戦の検証を含めた80年談話を出すことに意欲を持っていたが、結局、8月15日には談話を出さず、後日、首相個人としての見解を別の機会に表明する検討を進めているという。談話に対しては、自民党保守派から「安倍談話で戦後の談話は完了している」「謝罪外交を復活させるのではないかという懸念」「安倍談話を上書きされたくない」などの反対意見が噴出するとともに、保守論壇や日本会議イデオローグなどの動きを見ていると、村山談話をせっかく安倍談話で上書きしたのに、また、再上書きされるのではないかということへの危惧が見てとれる。


 参議院選で議席を伸ばした極右政党である参政党議員が「南京事件はなかった」とする発言をS N Sに投稿したり、西田昌司が沖縄戦での事実を歪曲する発言を行ったりするなど、

安倍政権以降、歴史修正主義が跋扈している状況の中で、穏健保守たる石破首相の発言が注目される。


 歴史修正主義は、日本の加害行為を否定するだけでなく、ミソジニー(女性蔑視)や排外主義と親和性が高いと言われている。我々は、戦後80年にあたり、歴史修正主義に加担しないだけでなく、平気でそういう発言をする者に対して、臆することなく糾弾していくことが大切だ。






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