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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

【報告】災害支援市民ネットワークしがの第4回研究会

 3月27日に災害支援市民ネットワークしがの第4回研究会を開催しました。新型コロナの影響もあって、座席を空けて対応しました。会場はブランチ大津京内の「ハッシュタグ大津京」。ここの会議室は公園に向けてドアを開放できるので30分ごとに空気を入れ換えました。春のいい風が入る中での研究会のタイトルは、「大型台風 防災・減災を考える」です。講師は、ローカリズム・ラボの井岡仁志さんです。



 本当はこの週にブランチ大津京が、備え付けてある大型のバルーンシェルターを広げての災害イベントを計画していました。琵琶湖西岸断層帯が走り危機意識の高い場所なのですが中止。ただ実際は滋賀県内では台風での水害の方が身近なようです。

 温暖化の影響なのか、毎年のように大型台風がやってきます。井岡さんは長野の新幹線が水没した付近の災害ボランティアセンターに数日おられたので、前半はその状況報告でした。千曲川が決壊しリンゴ農家が多く被災しました。地形上2階にあがった人が多く、垂直避難(ヘリコプター)が目立ったそうです。

 長野では県内からのボランティアが非常に多く、ここでは5つのサテライトが機能しましたが、ボランティアの移送が大変だったそうです。また大型ゴミの処理が混乱し、軽トラボランティアが発動しました。ボランティアの際に軽トラに乗ってきてもらい、ついでにゴミを運ぶというものです。落ち着いてくると、今度はJAや生協と連携し、農業(りんご)ボランティアを始動、というふうに長野ではいくつかのチャレンジが行われていました。

 後半は昨年報告していただいた、西日本豪雨で被災された広島のその後の状況です。井岡さんは、今も「地域支えあいセンター」に月10日ほど通い被災者の生活再建を手伝っています。被災者のその後の状況をあらわすデータをいくつか解説してもらいました。

 被災者支援は今第3フェーズに入っているそうです。1:状況把握、2:個別支援とサポートのネットワークづくり、3:日常生活への出口づくり。ただこの出口づくりはなかなか難しく、時間が経過しメンタル面やもともあった生活面での問題が表面化してきているとのこと。見守りのハイリスク層は、一つの家庭内に多くの課題が複数存在していて、就労難、引きこもり、高齢者の健康問題など、1つの家庭で19もの課題があった例も。そういう家庭が被災している状況なのです。全体として提示された課題項目は49種類にわたるので、長期の伴走型支援が必要ということでした。



 参加者の目はデータに釘付けになり、その後の意見交換も非常に活発でした。

 最後に新型コロナウイルスの話になりました。まず誰でも考えることですが、これが続けば地震・台風がきたときに避難所が成立しません。また広島の例と同じように、ハイリスク家庭に日常生活面での影響が出やすいのです。これは今も発生しているでしょう。

 ただ引きこもりだった女性が被災を機に近所の人と接し、自らボランティアとして動くことで課題を克服したという報告もあり、現在進行形で起こっている困難に立ち向かえる元気をもらえました。

 今回が2019年度の研究会の最終回でした。2020年度も何回か研究会を開催する予定です。災害支援市民ネットワークしがの会員はもちろん、防災に関心のある方ならどなたでも参加していただけます。ぜひ、NPOセンターのホームページの今後のお知らせでチェックしてください。

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