「災害支援市民ネットワークしが」の総会を開催しました。昨年の4回の研究会の報告後、2020年度はwithコロナ時代の災害支援の視点を加え、今後も研究会を企画実施します。
総会後、NPO法人さくらネットの石井布紀子さんから「長野での連携協力から学ぶ」をテーマにお話を伺いました。石井さんは、昨年の「東日本台風災害」以降長野県に滞在され、今も続けて支援を続けておられます。長野の被災時のネットワークを、「One Nagano」の事例として紹介されました。
長野県(主に被害の大きかった長野市)では、多機関の協働による課題解決の取り組みが行われましたが、今までになかった「農福プロジェクト」の取り組みが新鮮でした。農業・商業支援と、生活支援の間には垣根がないそうで、たとえば小規模なリンゴ農家の場合リンゴの木は庭先にあり、農業支援とするとボランティアはそこは手がつけられない領域のなのだそうです。そこの隙間を埋めるためのネットワークづくりは、県、市、JA、ボラセン、事業所など、それぞれの主体が少しずつ自団体の変革をしないといけないとのこと。一般的に総論賛成、各論反対が多い中、縦割りを越えてスピーディーに進めるのには、団体の少しの努力とコーディネーターの力が必要。結果「農福プロジェクト」では、災害で仕事のなくなった障がい者雇用につなげることができたのだそうです。
規模の大きな災害には大量のボランティアが必要ですが、課題は駐車場なのだそうです。1日3000人を越えるボランティアとなると輸送のバスが必要で、その回し方のマッチングなど普段からシミュレート(見積)するスキルをつけておく必要性があります。また長野では軽トラも大活躍したとのこと、これは滋賀でも想像できそうなので事前のルールづくりが必要です。もっと多くの事例があり、その事例が載ったパンフレットを資料にいただき、参加者はそれぞれ持ち帰りました。
最後に、滋賀の降雨量は普段から少ないので、豪雨対策が十分されていない。九州などの降雨量は半端ないので対策は毎年のように更新されている、滋賀県は危機感がないので、災害時にはきっと混乱するだろう。でも、協働のとりくみは進んでいるようなので、災害時はすでにできているそれぞれのネットワークで、とり組めることをスピーディーにやっていくしかない、とのお話でした。
多様な協働プロジェクトでやっていくためには、例えばコロナ対策など「避難所」だけを縦割りで切り取って考えるのではなく、地域や生活でのもっと多様な課題をその視野にいれなければならない、ということがわかりました。
「長野のように、ボランティアを大量投入するような災害が今年はないように願うばかりです」と締められました。
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