災害支援市民ネットワークしが、第5回目の研究会を1月18日に開催しました。これは10月30日の第3回研究会(※「近畿ろうきんNPOパートナーシップ制度」の協力で実施しました)が定員オーバーとなったため、同じ内容で少し大きめの会場で行いました。テーマは「コロナ感染症を踏まえた避難所運営体験」で、講師は一般社団法人福祉防災コミュニティ協会の温井恵美子さんです。
福祉防災に関わる温井さんのお話は、高齢化が進む中一人一人の尊厳を守ることが難しくなってきたという話題から始まりました。家族に障害や認知症のある人は避難所を去っていくことが多いとのこと。理由はオムツの臭いが隠せないのが辛いのとオムツ替えの場所がないなどです。避難所運営の研修においても、さまざまな困りごとを積極的に聞いていく視点を入れていく必要がありそうです。
災害時には、まず目の前に迫ってくる危険に対応することが必要です。しかし「令和2年7月豪雨」の際には感染が怖くて避難しなかった人も多かったようです。もともと避難したくない人に正常バイヤスが始動したということでしょうか。とにかく命を守ることが優先されるので、コロナは後回しになることもある、コロナは準備や対策をすれば避けれるからです。
避難所の感染対策についてはマニュアルのある地域も多いですが、受付でのマスク配布、体温計測や消毒の迅速化は、受付を密にしないために必須です。また受付で避難者をスムーズに適切なゾーンに配置できるように振り分ける、例えば感染者・濃厚接触者・発熱者と部屋を分け、そこへいくための動線も分けておく。そのために避難者が受付でチェックリストに正しい情報を記入するということ、また、チェックリストの項目もあらかじめ協議しておかねばなりません。マニュアルにつけ足すことは多そうです。
避難所にはコロナ以前から要配慮の必要な方々が多くいます。福祉避難スペースでは、パッと見てわかるように多人数を入れないことが重要です。一般避難所での工夫も必要です。人吉市の避難所では布のパーティションを設置していましたが、布は死角になるので昼間は開放するなどのルールづくりが必要とのことでした。また空気清浄機、加湿器の設置も必要となります。大広間にはコミュニティスペースを確保し、情報収集やストレス発散の場も準備します。
後半は、実際に避難所となる小学校の白地図を広げて、コロナ対応の運営体験に取り組みました。グループメンバーは、避難所運営チームの一員というシチュエーションで行います。避難所で次々に起こることに、時間軸で迅速に対応しながら、避難所全体の調整を行います。最初は受付や避難者の配置、次に車での避難者対応や食事の準備、避難所のルールの徹底や、夜間の対応も必要です。備蓄物や備品に何があるかも頭にいれておくことも大事です。外国人や子どもや女性への細やかなニーズ対応、怪我、病気、警備、衛生管理にも気を配ります。災害発生時には瞬時にこんなにたくさんのことはできないので、あらかじめ準備をしておくことの必要性が実感としてわかりました。
温井さんはこの2回の研究会のために、避難所訓練のショートプログラムをわざわざ作って下さいました。是非ともロングバージョンを体験したいものです。
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