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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

大規模災害への政府の責任

           しがNPOセンター


                     代表理事 阿部 圭宏


 今年も大規模な自然災害が起こってしまった。台風19号による各地の被害状況をテレビで見た時には、東日本大震災を彷彿させるような広域被害の状況に呆然とせざるを得なかった。


 日本は災害大国と言われているが、近年の台風や大雨の被害状況を見ると、気候変動の影響が如実に出ていると考えざるを得ないと思われる。災害の質が明らかに変わっていて、今回の台風19号被害のような状況が常態化するのではないかという心配がある。


 こうした日常的な災害に加え、南海トラフ地震、琵琶湖西岸断層地震、富士山や阿蘇山の噴火などが起これば、たちまちこの国はいろんな面で危うくなる。


 大規模災害が毎年のように起こり、これからも続くということになると、一般的に言われている自助・共助・公助という分類で本当に対応できるのか。自助や共助にばかり頼っている今の仕組みでは、しっかりとした災害対応はできないのではないかと思われる。


 阪神淡路大震災以降、ボランティやNPO・NGOが現地で活躍することが一般化した。災害ボランティアセンターを立ち上げての被災者への支援は大きな力となっているが、こうしたボランティアが対応すべき事項を超えての自治体等からの依頼が増えているとも言われている。本来、国や自治体が対応すべき問題がなし崩し的にボランティアへのニーズとなっていくことに、行政はもっと自覚すべきだ。


 確かに自治体では、職員が被災するケースも多く、災害対応への体制が十分整っていないこともあるし、予算上の問題も多いことから、国がしっかりと自治体をカバーできる仕組みを構築する必要があるだろう。


 被災者生活再建支援制度をはじめ、国の被災者支援制度は整ってきているとはいえ、まだ十分ではない。これだけ災害が頻発すると誰もが被災する可能性があり、国民に安心感を与える仕組みをしっかりと考える時期になっている。


 加えて、ハード面の防災対策が重要である。国の「防災基本計画」では、災害に強い国土形成をうたい、地震災害、津波災害、風水害、火山災害、雪害などに対するハード対策を出している。例えば、地震対策としての建物の耐震性の強化、風水害に強い国土形成のための治山,治水,海岸保全,急傾斜地崩壊対策,農地防災を行うこととしている。具体的には、河川であれば,河川整備基本方針及び河川整備計画に基づき整備を推進するなど、計画的に対応することとされている。


 しかし実際は、ハード整備に金がかかり予算上の制約があることから、なかなか整備が進まないのも確かだ。ハード整備だけやればよいのではないが、ハード対策が基本であり、整備計画の見直し、新たな工法の研究も含めて、しっかり行われてこそソフト対策や自助・共助という面も活かされる。政府による災害が発生してからの様々な復旧活動は当然であるが、災害が発生しないように防災面でのハード対策は国防にも匹敵するものであり、防衛費を削ってでも政府は早急に今の防災対策を見直し、真摯に取り組むべきと思う。


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