参議院選挙が終わって今後の社会を考える
- 代表 しがNPOセンター
- 8月1日
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しがNPOセンター
代表理事 阿部 圭宏

参議院通常選挙が終わった。温暖化による過酷な暑さの中での長い17日間の選挙戦であった。本来はこのくらいの選挙期間があれば、各候補者の人となり、訴え、政策などに加え、所属する政党の訴えも十分見極めることができるはずだ。しかし、結果を見ると、何を基準に有権者が選択しているのかがよく分からない面が如実に現れたようにも思われる。参議院の特殊性があって、3年ごとの半数改選、都道府県単位の選挙区と比例非拘束名簿方式(特定枠を追加したもの)を組み合わせているので、自分の投票行動が結果に反映されない場合が多いのも確かだ。
選挙結果は自公の過半数割れとなり、多党が乱立する中で、国民民主党、参政党の躍進が目立った。保守、リベラル、革新という立ち位置は、人それぞれの嗜好や考え方があり、これをどうのこうの言うつもりはない。ただ、参政党のような人権無視やヘイトスピーチを恥ずかしげもなくバラまくような政党が多くの有権者から支持されたことは本当に異常だ。

実は、参政党にはこれまでから注意喚起する人たちがいた。
創設メンバーのユーチューバーKAZUYAさんは、AERAデジタルで▼結党当初の姿やその後陰謀論へと傾倒していった参政党の歴史を証言している。
ウェブライター、漫画原作者の黒猫ドラネコさんは、▼2022年から参政党を認識し、演説会などを通じてウォッチし、今回の選挙でも警鐘を鳴らしていた。
宗教団体やスピリチュアル、疑似科学、反ワクチン、悪質な自己啓発セミナーを含むカルト的な集団を取材対象としているフリーライター、ジャーナリストの藤倉善郎さんは、▼参政党をカルトというのは矮小化しすぎで、もはやナチスレベルだと言う。
陰謀論などを取材・執筆しているライターの雨宮純さんは、▼参政党前史とも言うべき神谷宗幣の活動を遡って取り上げている。
探査報道を専門とする報道機関であるNPO法人Tansaは、参政党が政党として一線を超えた主張があるのではないかという視点から▼神谷宗幣の過去19年間にわたる発言を精査し、議会質問、書籍やブログ、YouTube番組、メディアによるインタビューなどを総ざらいして可視化している。
今回の選挙期間中の神谷宗幣や参政党候補者の街頭演説はトンデモないものが多かった。特に、神谷は連日デマや差別発言を流し続けた。

高齢者は子どもを産めない、TBS報道特集への抗議、宮城県の水道を外資に売ったと言って知事から抗議を受ける、発達障害など存在しないという発言で発達障害当事者協会からクレームを入れられる、日本人ファーストは選挙のキャッチフレーズだと開き直るなど、本当にどうしようもない。候補者の中には核武装は安上がりと主張する者もいて、日本被団協が共同声明を出して批判している。カウンターに対して「非国民」と戦時中を思わせるような発言をする候補者もいた。5月に出された参政党創憲案も本当にひどいものだ。
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全国の選挙を取材し記事にしている選挙ウォッチャーちだいさんは、NHK党と立花孝志の活動を初期から追い続け、反社会性・カルト性に警鐘を鳴らし続けてきたが、大手マスコミはこうしたちだいさんの活動にコミットせず、結果的に野放し状態になっていた。
しかし、兵庫県知事選挙でのデマ、2馬力選挙などで立花孝志のことがやっと社会に認識されるようになって、大手マスコミでも報道されるようになってきた。
参政党のカルト性、反ワクチン・似非科学、歴史修正主義、陰謀論、マルチ商法、デマなどに対し、ようやく指摘するメディアも出てきているが、まだまだ対応が緩い。N H K党のように初期対応を怠ると、その勢力を削ぐには相当の時間と力を要する。すでに、海外メディアでは、参政党を「極右政党」と呼ぶケースも顕在化しており、日本のマスコミももっと積極的な対応をすべきである。
選挙時には、参政党の街頭演説にプラカードを掲げるカウンターが多く出ていた。こうした活動はかえって参政党への同情を生んで逆効果だという人もいるが、それは間違いである。このまま参政党が多くの市民に受け入れられ、社会に広がっていくことになれば、国を破壊することになる。市民一人ひとりが参政党たるものを社会に受け入れないないように行動していくことが必要である。
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