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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

人口減少社会にどのように対応するか

           しがNPOセンター

                     代表理事 阿部 圭宏


 先月のコラムでも触れた出生数が90万人を割り込むという厚生労働省の発表は、とても衝撃的なもので、このまま行くと、政府が予測している人口減少よりも加速度的なスピードで人口減少が進むことは容易に想像できる。人口問題が厄介なのは、その影響が長く後年に渡って続くからだ。



 日本はこれまで人口ボーナスによって経済成長を遂げてきた。日本の経済成長を支えてきたのは、そういう人たちの旺盛な消費にあったという面も少なくない。社会の仕組みも、人口増加が前提となって成り立っている。しかし、人口減少が経済成長が人口と比例すると考えると、経済成長は期待できないし、そもそも経済成長を目指さない社会の仕組みへとしていくことが必要がある。


 大量生産、大量消費を前提とした経済はすでに破綻している。廃棄物は環境への負荷も大きい中で、例えば、食品ロスをなくす活動として「フードバンク」に取り組むNPOの活動が広がっている。ネットでの個人が不要となったものを売買するメルカリのような仕組みも、今の時代の流れをしっかりと掴んでいる。


 人口減少社会によって、地域のあり方も大きく変わるだろう。このような中で、厚生労働省が主唱しているのが地域共生社会の実現である。地域共生社会とは、「制度・分野ごとの縦割りや支え手・受け手という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体がわが事として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて丸ごとつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」とされる。


 ここに書かれているのはある種の理想論とも言える。コミュニティが崩壊し、コミュニティを民主的に再生していくことが求められているのは、各地での地域自治の仕組みづくりに多く現れているが、まだ、しっかりとした成功モデルはないようにも思われる。


 そこで参考にしたいのが、「ポツンと一軒家」と「人生の楽園」という2つのテレビ番組である。日本バンザイと誇張するテレビ番組が多い中で、この2つの番組は異彩を放つ。前者は、日本各地の人里離れた場所にポツンと存在する一軒家の住人を訪ね歩くもので、後者は50歳を過ぎてからの新たな挑戦をして第二の人生を歩む人の暮らしを紹介するものだ。


 これらの番組がすぐに解決策を与えてくれるのではなく、何よりもの大切なことは、人任せにせずに、自分でしっかりと考えるように心がけをしてみることだ。そこに隠された次の方向性が見えると思われる。

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