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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

最後のセーフティーネットは生活保護?

        しがNPOセンター


                     代表理事 阿部 圭宏


 新型コロナの感染が止まらない。第3波が押し寄せることが予見できたにも関わらず、感染予防対策をとらず、結果的に二兎を追う者は一兎をも得ずとなってしまった。こうした新型コロナへの政府の対応を見ていると、国家とは何なのか、政治は何をすべきなのかを改めて考えさせられてしまう。さすがに、政府に対する信頼は落ちていて、内閣支持率は軒並み低下しているが、それでも3割はキープしているから、この国の国民は本当に怒らないのだとしみじみ思う。



轍の跡が残る「車石」(筆者撮影)


 感染者の増大は医療崩壊につながると、第1波のときから言われ続けていたのに、その状況は変わっていない。東京都をはじめとする病床使用率の高い自治体では、入院調整ができずに自宅待機になっているケースも多いという。自宅療養中に容態が急変して死亡するケースも出ている。コロナ関連では、東京新聞が1月25日付で配信したWEBニュースによると、昨年3月以降に変死などとして扱った遺体のうち、197人が新型コロナウイルスに感染していたというニュースもショッキングだった。


 一応、先進国と言われるこの国で、国民の命を守るべき政府が、必要な医療を供給できる仕組みをつくれないというのでは、何のための政府なのか。


 国会では、新型コロナの影響で生活困窮者の増加により収入の道を断たれ路頭に迷ったり、命を落としたりする人が多いという指摘を受け、首相は雇用と暮らしを守っていくと言った後、生活保護というセーフティーネットがあると答弁。さらに、自助・共助がまず先で、その後に公助という自論を持ち出した。


 生活保護という発言に対しては、いろん批判が出ている。そもそも日本の生活保護の補足率は約20%と、諸外国と比較して低いと言われていて、生活保護受給のためのハードルが高い。特に問題とされているのが、扶養照会という親族への問い合わせだ。家族関係がよくない場合やDV被害を受けている場合だけでなく、親族に申請を知られることで申請を躊躇するケースもある。


 国会では、扶養照会は「義務」ではないと厚生労働大臣が答弁したので、これを機に、気軽に生活保護申請がでいるようになればと思う。



大津港近くの「大津城跡」の石碑(筆者撮影)


 ただ、これで問題は終わりではない。新型コロナ関連で生活できない、仕事がない、金がないという人に、政府はまず手を差し伸べることが必要だ。本年度予算の3次補正を見る限り、改めて、新自由主義に毒された今の政治体制からの脱却を図らないと未来はないように思う。

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