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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

安倍政権に対する冷静な評価を


          しがNPOセンター


                     代表理事 阿部 圭宏

安倍首相が突然辞任した。持病の悪化という理由なので、それに関してコメントすることはないが、安倍政権がこの国をどのように導いてきたのかを冷静に振り返る必要があるだろう。

 思い返せば、第1次安倍政権では、教育基本法が改正され、戦後民主教育を担ってきたその根幹が揺らぎ始めたことで、筆者の安倍に対する嫌な感じが強まってきた。

 民主党から政権を奪い返し、再登板してからは、アベノミクスを前面に打ち出し、異常なほどの長期政権となったが、この間に、日本は取り返しのつかないほど毀損してしまったのではないだろうか。

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(ガウラ 白蝶草)

 国権の最高機関である国会を軽視してきたことは、一番批判されるべき点である。特定秘密保護法の強行成立、従来の政府の立場を変更して集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定し、その後安全保障関連法を強行成立、組織犯罪処罰法改正など、どれも議論させずに成立だけを目論んだものと言えよう。

森友問題や加計問題、さらには桜を見る会などでは、首相が自らしっかりと説明せずに、しかも官僚が過剰に忖度することで、国会議論を不毛なものにしてしまった。国会中継を見ている国民は、首相の不誠実さや不真面目さを際立って感じとったはずだ。さらに、閣僚席からヤジを飛ばすなど、前代未聞のこともあった。

では、得意とされた外交はどうか。トランプの言うことは何でも聞くことで、日本はやはり独立国でなく、アメリカの属国なんだということがハッキリしてしまったようにも思える。無駄な多くの武器を買わされ、軟弱地盤である辺野古への普天間基地移設を強行する。

拉致問題や北方問題は、やっている感だけが出ていて、本当に解決する気はあるのかと思わざるを得なかった。

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(アベリア)


「悪夢のような民主党政権」ということを長期政権になってからも言い続けたが、本当に悪夢だったのだろうか。民主党には政治手法の稚拙さはあったが、子ども手当、農業戸別補償、高校無償化などはいい政策であり、安倍政権も幼保無償化を打ち出していることからも、何を批判しようとしてるのは分かりにくい。

応援してくれる人を味方、批判する人を敵と考え、国民を分断していく。対話をしてその溝を埋めようとすることはしないという政治姿勢は、トランプの分断政治を彷彿させる。

 支持率を上げてきたアベノミクスはどうか。異様なまでの金融緩和を行い株価を上げる。GPIFの年金積立金や日銀によるEFT買い入れで株価を維持しているという声も大きいが、コロナ禍で日本経済の基調がしっかりしていないことが露呈してしまった。GDPは戦後最悪と言われている状況をどのように再生するのかが問われている。あわせて、格差の拡大も大きな課題である。アベノミクスは一部の金持ちを喜ばせただけで、多くの国民に利益をもたらさなかったのではないか。

 安倍辞任によって何が変わるのか。自民党政権が続く限り、基本的には今の状況は変わらない。では、野党が政権をとったら変わるのか。そうとも言えないだろう。大切なのは、一人一人の市民が社会の課題に対して、大きく声を上げ続けることしかない。


(写真も筆者による)


閲覧数:36回1件のコメント

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1 Comment


伊井野 雄二
伊井野 雄二
Sep 02, 2020

はい 全て同意です。私は北方四島の問題が、もう取り返しのつかない状態になったことも危惧しています。プーチンさんや四島に住んでいる人たちの間では、もう「問題は無い」との認識だ。手土産外交したのに、「あしらわれた」のだよ。 反知性 反民主主義 反法治 などなど まあ、後釜はもっとひどいということだが、 まあ、晋三君の無教養的な顔を見なくても済むので、、、、、。

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