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  • 執筆者の写真代表 しがNPOセンター

人口動態を見て感じること


          しがNPOセンター





                     代表理事 阿部 圭宏

 夜、帰宅途中で高齢女性から声をかけられた。その女性は、以前、散歩中にも声をかけられたことがある。「あなたのことはよく知っている。私のこと覚えている?」と言われ、「申し訳ないですが覚えていません」と、そのときは別れた。今回は「隣の○○さんが困っている」という話だったのだが、以前のことは覚えていない様子で、その話に辻褄の合わない点も多く、気になって家に案内してもらうと、一人暮らしの様子だった。結局、知り合いの福祉系の方を通じて聞くと、すでに支援が入っているとのことでひとまずは安心したのだが、これは他人事ではないどこでもある身近な話である。



↑ 大津絵の道にある大津絵プレート「鬼と柊」

 例年9月は「老人の日・老人週間」を迎え、高齢者に関するデータがニュースを賑わす。今年は新型コロナ感染症のこともあり、その扱いは大きいとは言えないが、平均寿命は伸び続け、100歳以上人口も8万人を超えた。高齢化率は28.7%となり世界的に見てもだんトツの超高齢社会である。

 寿命が伸びることは喜ばしいことであるが、健康なまま生活できているかが大きなポイントである。特に認知症問題は深刻である。2012年に465万人だった認知症の有病者は2025年には700万人になると予測されている。認知症にかかっても、地域で普通に暮らせる生活ができるかというと、現時点では非常に難しいと言わざるを得ない。

 親の介護による介護離職、過重労働や低賃金による介護職員の人手不足、特別養護老人ホームに入れない多くの待機者、介護保険料の負担増など、介護をめぐる問題は現在でも深刻なのに、そのまま行くと破綻が避けられないのではないか。

 こうした高齢化をより深刻にしているのが、支える世代の減少、少子化の深刻さである。未婚化や晩婚化が大きな原因だという。少子化はとどまることを知らずに、例えば、今、劇的に出生率が上がっても、その子どもたちが成人して社会へ出るまでにはずいぶん時間がかかる。


↑大津市内に設置されたポケットモンスターのマンホール「ギャラドス」


 少子化や高齢化については、随分以前から警鐘が鳴らされてきたし、政府も少しは対策を立ててきた。しかし、こうしたことは焼け石に水で、劇的な対応が求められている。まずは女性の地位向上である。そして、介護の社会化と言われて導入された介護保険の趣旨を踏まえ、改めて介護のあり方を考える必要があるのではないか。

 新首相が就任記者会見で言った「自助・共助・公助」という名の下に、すべてが個人の責任にされてしまうことを危惧する。

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