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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

市民活動・NPOを社会へ根付かすには

更新日:4月26日

  しがNPOセンター                      

                代表理事 阿部 圭宏






  2023年度に内閣官房孤独・孤立対策担当室(2024年度からは内閣府へ移管)が所管する「孤独・孤立対策活動基盤整備モデル調査」に、関西の6つのNPOでコンソーシアムを設立し、しがNPOセンターも参加して実施した。この事業は、全国のNPO支援組織の有志が国に対して要望した内容を受けて事業化されたという経緯がある。


 孤独・孤立の要因、内容は多岐にわたる。孤独・孤立にならないような予防的対応が必要だが、そのためには市民参加のもと、人と人とのつながりを重視して活動するNPOが、小規模であっても多様にかつ身近な地域内に存在することが有効である。例えば、直接福祉的な活動でなくても、芸術、スポーツ等の市民活動に参加することで、他者とつながったり、居場所となったり、困ったときに相談できる関係性を築くことができる。このことから、NPOの存在そのものが孤立・孤独の解消に貢献することができ、NPOの層がより分厚くなっていくことが大切だと、国に訴えたのだ。


 この調査では、地域のNPOを伴走支援することで、NPOの抱える課題、例えば、資金や組織運営全般に対する解決策を提案するなど、NPO支援組織の重要性を国にも認識してもらうことができた。これは何も孤独・孤立対策だけでなく、地域課題に対応しているNPO全般に関わることでもある。





(筆者撮影 今年の桜) 


 もう一つ、しがNPOセンターでは、2023年度に同じような事業を実施した。滋賀県から「協働で進める子ども・若者まんなか活動助成事業」支援業務の委託を受けて、助成を受けた19団体のサポートを行った。サポートに当たっては、県内の5つのNPO支援組織にサポートへの協力してもらった。


 実施期間が短く、さまざまな問題のあった事業だが、助成を受けた団体の地域課題に向き合う真剣な姿は、改めてNPOの可能性を示したと言えよう。一方、こうした取り組みを継続していくために、行政として改めて何をしていくかが問われた。


 国の事業だと、府県をまたぐ広域での取り組みを要求する場合は多いので、全国規模で動いている大規模なNPO、あるいはいくつかのNPOによるコンソーシアムしか手を挙げにくい。これが自治体レベルだと、地域密着型の小規模NPOが手を挙げやすくなる。実際、滋賀の子ども・若者まんなか活動助成事業に取り組んだ団体は、地域密着型の小規模NPOが圧倒的に多い。こうしたNPOは、組織基盤の脆弱化、人材・資金不足などの課題を抱えていて、社会全体としてNPOを支える基盤を整えていかないと、実際に困っている人へのアプローチが進んでいかない。その意味では、自治体の役割は大きい。今回の滋賀県の事業は、2023年度だけで終了となってしまい残念な結果となったが、いろんな分野での県や市町村といった自治体が積極的にNPOに関わっていく仕組みづくりを期待したい。


(筆者撮影 今年の桜)

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