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政治は信頼を取り戻せるか

  しがNPOセンター                      

                代表理事 阿部 圭宏


2024年の新春を迎えました。今年もご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。





 昨年の新春コラムでは、「この国はどこへ向かおうとしているのか」 と題して、この国の政策のあり方がこれでよいのかということを書いた。今年も政策のことをと考えていたが、政治資金という市民にとってはどうでもよい話をしなければならないことは非常に悲しいことだ。


 自民党安倍派、二階派、岸田派がパーティ収入を不記載にした政治資金規正法違反に関して、連日マスコミを賑わす騒ぎになっている。臨時国会終了後には、安倍派、二階派の事務所に東京地検特捜部の強制捜査が入り、報道では松野前官房長官をはじめとする安倍派幹部に対して任意聴取が要請されているという。


 今回の捜査は、上脇博之神戸学院大学教授がしんぶん赤旗の記者からの情報をもとに、膨大な量の政治資金収支報告書を調べて、刑事告発されたことに端を発している。

政治資金規正法の収支報告書記載は、あくまで形式論なので、収支の記載がないことに関しては、修正報告をすればほとんど問題にされないが、安倍派のように、裏金づくりが行われたことはとても悪質だということが、大きな問題となっている。



(筆者撮影 冠雪の伊吹山)


 しかし、あくまで追求されるのは政治団体の会計責任者であって、政治家本人ではない。共謀が立証された場合には政治家も訴追され、有罪となれば、一定期間公民権を停止されるが、政治家を訴追するのはハードルが高い。これだれ問題となっていて裏金をつくっても、単に政治資金規正法による収支報告書の虚偽記載だけであって、その使途がおかしいということで法的責任を追うことがないという、いかにも奇妙な法律の立て付けとなっている。


 これまでから、この国では、政治や政治家に対する信頼が著しく低いと言われている。2019年に言論NPOが行った「日本の政治・民主主義に関する世論調査」では、国民の6割を超える人が政党や国会を信頼できないと答えている。言論NPOが2021年に世界の7団体と実施した「世界55カ国の民主主義に関する世論調査」でも、政党や政治に対する不信感がG7諸国の中で最も高いという結果が出ている。2021年に中央調査社が行った「議員、官僚、大企業、警察等の信頼感調査」でも、国会議員への信頼度が最も低い結果となっている。


 長年、政治や政治家に対する信頼が低い中で今回の裏金疑惑である。かといって、政治を諦めてしまえば、本当にこの国はどうしようもなくなる。



(筆者撮影 雪化粧の比良山系)


 1993年に成立した細川連立内閣では政治改革が叫ばれ、小選挙区比例代表並立制と政党交付金の導入を柱とする政治改革4法が成立した。2009年には自民党政権への政治不信・不満による民主党政権の成立となった。ほぼ15年おきに起きている政治の揺らぎは、果たしてどのような結果をもたらすか。


 政治家がしっかりと改革に取り組むべきというのは正論だが、これまでのことを見ていても、お手盛りの改革しか出てこないだろう。政治資金パーティの禁止、政治資金による飲み食いの禁止などの使途の制限、小選挙区選挙の廃止と比例選挙への移行をぜひやってほしい。今の政治家には無理だろうが、諦めないで言い続けたい。


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