しがNPOセンター
代表理事 阿部 圭宏
前回は解散権のことについて書いたが、結局、思い通りの解散ができず、自民党は総裁選に現職の首相が参加しない総裁選が行われた。4人が立候補して、岸田文雄氏が総裁になり、この後に開かれる臨時国会で首相となる手はずになっている。
それにしても、この間のマスコミの報道は過熱気味で、本当にこの国のマスコミは政局が好きなんだなという気がする。総裁選の候補者は、現職大臣、与党幹部に加え、大臣や党役員の経験者であり、それぞれが掲げる政策は政府や与党内で議論すればすぐにも実現できそうなのも結構あって、この人たちは政権側にいるという自覚がないのではないかと思えてしまうし、マスコミはこうしたことを批判しない。総裁候補者の4人が掲げていた政策は、本当に一つの政党かと思うほどに違いが鮮明に出ているのも自民党らしい。自民党国会議員や党員の反応は、政策を見てというよりも、どちらにつくかという数とりゲームの様相を呈している。
たそがれの大津港(筆者撮影)
一方、野党が取り上げられることは少ない。街頭インタビューで「野党は何をやっっているか分からない」「批判ばかりしている」「政策で論議してほしい」という意見が出ている様子を見たが、こうした反応ばかり出るのは、マスコミ報道で取り上げられる国会での議論が、政府批判のシーンが多いからだ。しかも野党が共闘すると、烏合の衆と揶揄されるが、政党での違いがあるのは当然で、それを乗り越え市民連合の呼びかけで4党の合意ができている。
衆議院や参議院の本会議や委員会中継は、それぞれのホームページからすべてを視聴できる。実際にウェブで視聴すると、さまざまな政策議論がされていることが分かる。生中継だけでなく、過去のものを検索でき非常に便利だ。ただ、こうした中継を見るにはかなりの時間を要し、一般の市民はそこまでなかなかチェックすることはない上に、テレビと違って自分で情報を取りにいく必要があるため、ハードルが高い。NHKのテレビ中継は、本会議や首相が出席する予算委員会などに限られてしまうし、ニュースや情報番組では、このうちの一部が切り取られて放映されるため、これが国会なのだと思う人が多いかもしれない。
大津港から琵琶湖をながめる(筆者撮影)
では、どうすれば市民は各党が掲げる政策をチェックできるのか。衆議院選挙が間近になり、与野党を問わず、さまざまな政策がマニフェストによって示されるので、まずは各党のホームページにアクセスしてみるとよい。耳障りのよい言葉が羅列されていないか。本当に実現可能性があるのか。財源はどうするのかなど、与党野党を問わず、ツッコミどころは満載だ。
簡単に与党と野党との政策を比較したいのであれば、各地で開催されている公開討論会に参加することだ。最近、投票率が下がっている。選挙に行って意思表示することが、この国の政治を一歩進めることになる。
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