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今こそ外交力が問われている

           しがNPOセンター

                     代表理事 阿部 圭宏


 ロシアのウクライナ侵攻が止まる気配がない。連日、ウクライナでの悲惨な映像が流されている。日本政府は、欧米に追随する形で、ウクライナ支援を行うとともに、ロシア制裁に踏み切った。こうした制裁に対抗してロシアもビザなし交流を中止、平和条約交渉の中断、外交官の追放といった措置を講じている。


 日本の外交と言えば、アメリカのポチと揶揄する人もいるほどアメリカ一辺倒であるが、

今回もロシアとの関係を一方的に破壊するものだ。何もこれを批判するのではないが、安倍政権時代にプーチンと個人的な関係を積み上げてきたとあれほど言われてきたのに、それをうまく外交に活かせられないのかと思う。国会でも安倍元首相を特使として派遣しないのかと問われ、岸田首相は現時点では派遣する気はないと答弁した。結局、安倍外交とは何だったのだろう。


 こんな中、自民党安全保障調査会が、日本を攻撃する他国のミサイル発射拠点に打撃を加える反撃能力の保有を求める提言書を首相に提出した。これまで敵基地攻撃と言われてきた名称を反撃能力に変えているが、専守防衛の域を越えたものとなっていて、明らかに憲法違反である。しかも、N A T Oが軍事費をG D Pの2パーセントを目標にしていること念頭に防衛費の大幅増も目指すとしている。


 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本はもっと武力を行使できる国になるべきだと考える政治家がここぞとばかり発言を強めている。こうした政治家の発言ほど無責任なものはない。有事のときこそ、いかに武力行使にならないかをあらゆる可能性を考え行動するのが外交にほかならない。


 前回のコラムでは、「軍事に頼れば軍拡に向かわざるを得ず、軍拡競争は果てしなく続く。戦争は誰も幸福にしないということを一人ひとりが自覚して行動する必要がある」と書いたが、こうした平和的な努力を為政者は真っ先に行うべきだと思う。


 敵対視するのは簡単だが、ロシア、中国、北朝鮮といった近隣諸国といかに付き合うべきかをもっと考えていかないといけないのではないだろうか。


(写真:筆者)


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