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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

東日本大震災からの復興とは


           しがNPOセンター

                     代表理事 阿部 圭宏


8月終わりに4年ぶりに岩手県大槌町(岩手県上閉伊郡)を訪れた。大槌町は、しがNPOセンターが災害支援活動を始めるきっかけになった町だ。東日本大震災では、災害支援に取り組んだことがなかったが、滋賀からボランティアに行きたいという声に応えて、いろいろな方の支援を受けながら、大槌町にボランティアバスを出してきた。そうした関係もあって、大槌町をはじめとする三陸地方の復興はどのようになっているのかはずっと気になっていた。


三陸鉄道(以下、写真は全て筆者撮影)


大槌町では、堤防の建設、中心部の平均2.2メートかさ上げしての区画整理、J Rから三陸鉄道への経営移管による鉄道の再開、小中学校を一体化し大槌学園とした新たな学校が動いている。



大槌学園


社会的なインフラを整えることは、復興の過程で欠かせない。ここまでの道のりは決して楽なものではなかったことは容易に想像できる。大槌町の場合、役場庁舎も被災し、町長や職員にも多くの犠牲者が出た。旧役場庁舎を残すか壊すかも議論が分かれた。今の町の姿を見ても、住民の意見は多分別れるだろう。それほど、災害からの復興は難しい。




大槌駅前



大槌町中心地


国勢調査の結果で見ると、大槌町のピーク時の人口は21,292人(1980年)だったが、それが徐々に減ってきて、震災前の2010年には15,277人と3割近くの減少となっていた。震災後の2015年には11,759人となり、2010年との比較では岩手県内で一番の減少率となっている。2020年には11,004人と減少傾向は続いている。国勢調査の数字を見ると、すでに人口減少が40年前から始まっていて、それが震災によって加速されているように見える。



大槌川の堤防


少子化、高齢化、人口減少は、大槌だけの問題ではない。インフラを生かして大槌の未来を語る場合に、人口問題だけを考えるのでは解決しないだろう。10年単位で考えていくのがまちづくりだと言われるが、これまでの10年で基盤整備を行ってきたと考えると、これからの10年はますます大事になる。


大槌学園前で写真を撮っていると、中学生が「こんにちは」と声をかけてくれた。これだけでも大槌の未来は明るいと思った。これからも大槌に注目していきたい。



大槌川を走る三陸鉄道






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