しがNPOセンター
代表理事 阿部 圭宏
2025年の新春を迎えました。今年もご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

能登地震から早くも1年が経つ。9月の豪雨水害もあって、被害が輪をかけて広がり、復興はまだまだ遠いと言わざるを得ない。そのような中、昨年の臨時国会の衆議院では実に28年ぶりの予算の修正が行われた。これまでの災害予算は、予備費でしか対応されてこなかったが、立憲民主党からの申し入れで能登半島の復興・復旧のために1000億円の補正への組み替えが行われたものだ。
補正予算のほか、裏金問題に対する政治倫理審査会への追加出席、政治資金規正法の再改正なども行われ、久しぶりに国会で健全な議論が行われ、国会の機能が回復したという評価もできるだろう。産経新聞でも、「補正予算案を可決した衆院予算委員会では、安住淳委員長(立憲民主党)が“熟議の国会”の演出に腐心する姿が目立った」と伝えている。時間厳守を与野党議員に促し、丁寧な答弁を求め、官僚にも答弁させた。与党筆頭理事の井上信治氏(自民党)も手放しでほめた。例えば、ロッキード事件のときの予算委員会のときのような緊張感あふれるやりとりとりが見られて、改めて与野党議席が拮抗することが、政策推進の停滞を招くのではなく、逆に前進するのだということが分かる。

国会は国権の最高機関と言われているが、自民党一強時代が続いたこの期間、国会はほぼ機能不全に陥っていた。集団的自衛権の閣議決定での解釈変更、それに基づく安保法制(政府は「平和安全法制」と呼んでいる)は、衆議院憲法審査会における3名の参考人をはじめとする多くの憲法学者、歴代の内閣法制局長官、さらには元最高裁判所長官を含む最高裁判所判事経験者がその違憲性を指摘したにも関わらず可決されてしまった。
こうした大問題は、特定秘密保護法、働き方改革関連法、防衛費の倍増なども同様で、政策決定プロセスの根幹が揺らいでいる。こうした政権の姿勢が統計不正問題を生み、森友・加計問題、桜を見る会問題などのとても通常では考えられないような不適正と思われる対応事象を生んでいる。
臨時国会での与野党の議論を見ていると、改めて議論の重要性を我々に教えてくれる。通常国会でも予算審議をはじめ、多くのことが議論されるとに期待したい。国民民主党が言っているような103万円といった瑣末な議論に回収されるのではなく、税制問題も根本的な議論が必要だろう。
Comentários