しがNPOセンター
代表理事 阿部 圭宏
安倍元首相の殺害事件を機に、統一教会と政治との関係がクローズアップされていく中で、かつて社会を賑わした合同結婚式、霊感商法が改めて報道されるようになった。こうしたトラブルは現在も続いているものの、そこに深く政治との癒着があってか、これまで社会問題化されてこなかった。今般、高額献金や2世問題、養子問題など、数多くの教会がらみの問題が明るみになって、社会の統一教会に対する眼差しが厳しさを増し、ようやく政治家の統一教会に対する態度が変わってきたと言える。
政府による被害者支援に関しては、消費者庁が設置した「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」による報告書、政府8省庁による「合同電話相談窓口」の取り組みが行われてきた。
最近では、宗教法人法に基づく文化庁の質問権が行使されたり、厚生労働省と東京都による養子縁組に関する質問書の送付など、やっと行政の重い腰が上がった。
(筆者撮影 日没の琵琶湖湖岸 長浜城 滋賀県長浜市)
統一教会に対する解散命令とともに、被害者救済のための法律がどうなるのかが、今、注目されていて、「寄付規制法案」が今国会中に成立するかが問題となっている。霊感商法や宗教団体への高額献金に苦しむ当事者や家族の方々にしっかり対応すべきものとなるかが大事であることは理解できる。2022年11月18日に示された政府案として「被害救済・再発防止のための寄附適正化の仕組み」の概要が示されている。その内容は、寄付の勧誘に関する一定の行為の禁止、寄付募集に関する業務状況報告を求めたり、禁止行為の停止勧告、勧告に応じなかった場合の措置命令などが入っている。
今回の示された概要では、「献金規制」という名称ではなく、「寄付規制」というものになったため、寄付そのものに対して、ネガティブなイメージができてしまわないかが心配される。NPOにとって寄付募集、寄付を広げる活動は、社会に寄付文化を醸成し、まざまな社会課題に立ち向かうNPOの活動を支える基盤となるものであり、市民の社会参加の大切な手段でもある。
さらに、NPO法人の場合には情報公開義務があり、高い透明性のもとで寄付管理が行われている。宗教法人と異なる法人格を一律に規制することが本当に適切なのかということも気になっているが、そもそも当事者の声を聞かずに、新法の制定を進めること自体に問題があると思われる。法案についてもっと丁寧な議論を求めたい。
(筆者撮影 日没の琵琶湖湖岸 長浜城太閤井戸跡 滋賀県長浜市)
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