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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

異次元の少子化対策にどこまで期待できるか          

しがNPOセンター                      

                   代表理事 阿部 圭宏




 岸田首相が年頭記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と訴えた。通常国会の施政方針演説では、「年齢・性別を問わず、皆が参加する、従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」という表現に変わったものの、「異次元」いう意味にこだわったと言える。この異次元は何を意味するのかだが、ここまでやるという覚悟が本当にできているかが問題だ。


 日本の少子化は1975年から始まっていたが、1990年の1.57ショックを契機に注目されるようになった。1991年からは少子化に対する取り組みが少しずつ行われるようになり、エンゼルプラン、新エンゼルプランなどを経て、2003年に「少子化対策基本法」ができた。とは言え、20年も経過して少子化は止まるところを知らず、少子化問題に対する歴代政府が結局何にもやってこなかったと思えるようになってしまっている。


 さらにコロナの影響も少子化に拍車をかけている。2021年の合計特殊出生率は1.30にまで低下した。昨年の出生数は、1年間の出生者数は過去最少だった2021年の81.1万人を大きく下回る可能性が高い。




2023年1月大寒波のBranch大津


 こうした日本の実情を踏まえ、これからやろうとされる異次元の少子化対策は、何を目指しているのだろうか。首相がこども政策担当大臣に指示した「児童手当を中心とする経済的支援強化」「幼児教育や保育サービスなどの支援拡充」「働き方改革推進」という三つの基本的方向性に沿って、その具体策を検討するとともに、高等教育の負担軽減に向けた出世払い型の奨学金制度の導入にも取り組むもののようだ。


 具体的な内容は、これからだとしても、漏れ聞こえてくるのは児童手当の増額だとか、社会保険料の一部を原資に、子育て中の非正規労働者に給付金を拠出するだとか、どれも小手先のようなことばかりだ。






2023年1月大寒波のBranch大津 まちづくりスポット大津


 真剣に取り組もうとするのであれば、これまでの政策を180度変える必要がある。出産や育児の費用の軽減、18歳までの医療費無料、選択的夫婦別姓の導入、教育費の無償化、給付型奨学金の導入など、取り組むべきことは多い。当然、多くの税金を投入する必要がある。ミサイルを買うために増税するというのであれば反対は多いが、未来のこの国を担う人のためにということであれば、増税にも理解が得られるだろう。


 やはり、実現のためには、首相のやる気とこれまで夫婦別姓反対、手当支給には所得制限などと言っている自民党内部を押さえ込む覚悟だろう。

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