しがNPOセンター
代表理事 阿部 圭宏
統一地方選が始まった。果たして投票率はどうなるのかが気になるが、投票率はずっと下降していて、危機的状況と言える。
国政選挙の場合は、与野党の争点が明確化され関心が高まると上がる場合もあるが、総じて低下傾向にあって、直近の選挙では、衆参ともに50パーセント代となっている。地方選挙の場合はもっと悲惨で、統一地方選だけに限っても、知事や市区町村長といった首長選挙は言うに及ばず、議員選挙もともに40パーセント代の投票率となっている。市民の身近な生活に関わる地方選挙への関心が特に低いのはどうしてなのか、対策を含めて考えることはとても大切なので、このことは稿を改めて書いてみたい。
もう一つ、女性政治家の数もなかなか増えないのも気になる点であるが、今回考えてみたいのは、政党と地方政治の関係である。
地方における議員の特徴を所属政党で見た場合、公明党や共産党のように帰属意識が高く、一体性が確保されやすい政党と、政党に所属していても個人によって主張する政策が党の政策と必ずしも一致していないなど、凝集性があまり高くない政党までがある。地方政党や政党に所属しない市民派議員なども含めると、地方政治においては政党政治が実現しにくい特徴があるということは現状として知っておくとよい。
(天孫神社の夜桜 筆者撮影)
有権者が投票行為で判断するのは、その自治体においてどのような議員活動を行ってきたか、行おうとしているかということになるだろうが、果たしてそれだけでよいのか。その候補者が国政に対してどのようなスタンスなのかを明確にしてもらうことも必要ではないのか。たとえば、その議員が地域でよくやっているという判断があっても、有権者が支持しない政府の政策を推進しようとする議員であれば、その議員に投票することで、返って自分が志向しない国の政策が実施されてしまうことになる。
(天孫神社の夜桜 筆者撮影)
地方選挙も政党中心の選挙になれば、政党が前面に出ることで、有権者がパッケージとして政策を理解し、投票が容易になる。これは単に選挙だけではなく、議会運営においても政党を前面に出すことにより、その政党の国政上のスタンスから、どのような議決態度を表明するかが類推しやすくなる。
特に市区町村議員選挙では、地域密着型で顔の見える関係を前面に押し出して行われる。あの議員は何でも聞いてくれる、いろんな会合・イベントに顔を出すとか、まさにドブ板をやっている議員ほど、そうした行動が得票につながるケースが多い。だからと言って、それを是として投票行動をとれば、結果的に自分の望まない方向で進んでしまう。凝集性の低い政党でも、国政選挙の場合、地方議員が率先して選挙活動を担うので、地方政治と国政を全く別のものという考えはやめた方がよい。
(天孫神社の夜桜 筆者撮影)
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