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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

G7サミットは何のため

   しがNPOセンター                      

                代表理事 阿部 圭宏

 広島で行われていたG7サミットが終了した。首相記者会見では、核兵器のない世界という理想に向けた基礎を確保し、核軍縮に向けた国際社会の機運をいま一度高めることができたという発言があった。ゼレンスキーの突然の参加もあり、サミット後の岸田内閣の支持率が上昇したと言う。


 被爆地広島で開催されたことから「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が出されたが、これに関して、サミットに向けて世界各地の市民団体などがつくっている「Civil7」(略称「C7」)が緊急会見を行った。C7は、「今回のビジョンは、核兵器のない世界を究極の目標として、現実的・実践的で責任あるアプローチにより、安全保障を担保しながら進めていくというもので、核軍縮を進めず、核兵器の廃絶を求めるものになっていない」と手厳しい。また、「ロシアによる核の威嚇を非難しつつも、自分たちの核兵器については防衛目的・抑止目的だといって正当化している」「核兵器を肯定する首脳らによって被爆地は踏み躙られた」と、原爆資料館訪問と被爆者との面会に一定の意義があったことは認めたものの、全体として低い評価をした。


 中国新聞でじたる天風録には、「君はヒロシマを見たのか」というタイトルで、G7首脳が原爆資料館を訪ねたが、見たのは、アメリカの注文によってふるい分けされた展示物だと紹介している。取り繕った広島ビジョンや首脳声明は、見たと言えぬ証しだと締め括られている。



(筆者撮影 大津天神宮由緒と猫)


 かつて、丸山眞男は「現実というものは常に作り出されつあるもの或いは作り出されて行くものと考えられないで、作り出されてしまったこと、否、さらにはっきりいえばどこからか起って来たものと考えられていることである。……現実はつねに未来への主体的形成としてでなく過去から流れてきた盲目的な必然性と捉えられる」と書いた。


 今回のビジョンで見ると、核抑止が現実的なアプローチだからこれをそのまま受け入れて核廃絶のことなど考えないということだ。サーロー節子さん、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)など、被爆者や核廃絶に取り組んできた団体からも失望の声が挙がった。


 岸田首相は広島出身と言うけれど、東京生まれの東京育ちで、3代目の世襲議員である。広島に住む人の痛みを知らず、政治的に利用しているとしか見えない。首相秘書官の息子のバカぶりを見ていても、この親にしてこの息子という気がする。この先、この国はどうなるのか、暗澹たる気持ちになったのが筆者だけではないと思う。



(筆者撮影 琵琶湖と観光船ミシガン)

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