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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

企業・団体の政治献金をどう考えるか

  しがNPOセンター                      

                代表理事 阿部 圭宏



 

 例年8月15日の新聞各紙の1面トップは「終戦の日」にちなんで記事が作成されているが、今年は岸田首相退陣へが各紙の1面トップを飾った。前日14日の岸田首相の総裁選不出馬、すなわち退陣表明の記者会見が行われ、これを各紙が報道したものだが、この国にとってとても大切な日を踏み躙られたような嫌な気分になったのは筆者だけではないだろう。


 この報道を皮切りに、自民党総裁選挙について嬉々として報道するマスコミの様子や総裁選に浮かれている自民党議員を見ていると、本当にこの国は大丈夫かと暗澹たる気持ちになる。確かに自民党総裁は、そのまま国会での首班指名により総理大臣に任命されることは確実だから報道すべきというのも分からないではない。とは言うものの、昨年以来大きく日本社会を揺るがしてきた政治資金問題に関して、裏金の実態が何ら解明されず、政治資金規制法改正もお茶を濁す程度のものであったことなど、真摯な反省もないまま、総裁選で表紙さえ変えれば、国民はすべてを忘れて自民党政権は安泰だと自民党議員の多くが考えているとすれば、いかにも国民をバカにしていると言わざるを得ない。                   



(筆者撮影 花束)


 自民党の問題は政治資金だけではない。現職自民党議員が収賄、受託収賄、公職選挙法違反で逮捕起訴されたケースが2019年以降で6人、在宅起訴・略式起訴が5人、最近でも2人の現職議員の詐欺などが話題になっている。これほど犯罪者を抱えた組織が何ら反省もせず政権についていること自体がおかしく思えてくる。


 政治資金規正法の改正問題で話題になっていた政治資金パーティーは、個人への隠れた企業献金だとも言える。パーティーに制限を加えられることは、自民党の政治家にとって死活問題なのだ。政治改革の中で問題となってきたのが企業・団体献金であるが、これは今だに廃止しようとする議論にならない。


 企業・団体献金についても見てみよう。


 少し数字は古いが、自民党は日本経団連傘下の企業・団体から2006年から2008年の3年間で計81億円の献金を受けた。当時の民主党に対する労働組合からの献金額11億円と比較しても断トツである。





(筆者撮影 コスモス)


 企業献金の実態を解明しようと、地道に調べ上げたのがNPO法人Tansaである。 Tansaは探査報道を専門とする報道機関[1]で、官報を細かく読み解き、半世紀にわたる大企業の自民党への政治献金を暴露している。[2]これを見ると、自民党の金権体質がよく分かる。裏金問題より根深いのは、自民党が権力を長年にわたり維持してきた構図として大企業と業界団体から献金で、政策がそれによって歪められてきたと言える。


 自民党をこのままの体質で政権にとどめおくことは、政治だけの劣化にとどまらず、日本自体が終わるだろう。政治資金パーティーだけでなく、企業団体献金を廃止するためにも、国民が政治にコミットする必要がある。










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