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パワハラの根源にあるものは

  • 執筆者の写真: 代表 しがNPOセンター
    代表 しがNPOセンター
  • 4月1日
  • 読了時間: 3分

  しがNPOセンター                      

                代表理事 阿部 圭宏


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 3月19日に、兵庫県の「文書問題に関する第三者調査委員会」報告が代表監査委員あてに提出された。その前に出された県議会百条委員会が齋藤元彦知事の一連の行動を「パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった」と直接的な言い方を避けたのに対して、知事自らが設置した第三者委員会報告では、多くのパワハラが認定された。この報告では、元西播磨県民局長の告発が公益通報に該当し、告発に対する知事の対応が公益通報者保護法に「違反」しているとした。


 パワハラ行為として告発された16項目のうち、実に10項目をパワハラと事実認定していて、認定していないものでも不適切な言動とされるものもあった。「労働施策総合推進法では、パワハラを職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務 上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものをいう」という定義を筆頭に、厚生労働省指針、人事院規則、兵庫県ハラスメント防止指針を細かく読み込みながら、一つひとつをていねいに事実認定している。



(枝垂れ桜 筆者撮影)
(枝垂れ桜 筆者撮影)

 齋藤元彦は、官僚時代優しかったということが言われている。それが知事になった途端に、なぜパワハラ体質が表面化したのか。第三者委員会は組織上の問題として、知事と取り巻きが同質的な集団となってしまったこと、取り巻きとそれ以外の幹部と知事との接触機会の差による組織の分断、自由闊達さに欠ける組織的な姿勢の3点を指摘している。


 同質的な組織風土はパワハラを生みやすい。丸山真男は戦後すぐに書いた「超国家主義の論理と心理」という論文で、東条英機の国会答弁から「独裁観念にかわって抑圧の移譲による精神的均衡の保持とでもいうべき現象が発生する」と分析している。「上からの圧迫感を下への恣意の発揮によって順次に移譲していく事によって全体のバランスが維持されている体系」だとし、近代日本が封建社会から受け継いだ最も大きな「遺産」の一つだと言っている。


 この封建制の残滓である「抑圧の移譲」が齋藤元彦のパワハラの根源だとも言える。トップに立ったことで、取り巻きにも異論を許さず、だんだん組織が同質化していく様子は本当に怖い。齋藤元彦は百条委員会報告には一見解との認識を示し、今回の第三者調査委員会報告に対しても真摯に受け止めると言っただけで、真剣に向き合う姿勢を見せていない。最終的にパワハラは渋々認めたものの、元県民局長への謝罪や処分撤回もなく、自分への一切の処分も行わない。さらに驚くことに、公益通報者保護法違反は認めないなどと堂々と言えてしまうことに、人間としてのタガが外れてしまっているようにも思える。パワハラだけを認めて職員に謝ったと言っているが、自分に対する一切の処分も行わない。このままでは、パワハラが兵庫県庁でまだまだ続くのではないかと心配してしまう。



(開花し始めたソメイヨシノ 筆者撮影)
(開花し始めたソメイヨシノ 筆者撮影)

 齋藤応援団が県議会傍聴席に大量に押しかけ拍手を贈る様子や個人情報を流布した元維新県議とニコニコして一緒に写真に収まる斎藤を見ると、とにかく何もかも根底から揺らいでいて、近代民主主義国家で起こっていることとは思えなくなる。兵庫県外に住むわれわれも、兵庫県だけの問題だとスルーするのではなく、一人ひとりができることを考えていく必要がある。

 




1件のコメント


伊井野 雄二
伊井野 雄二
4月11日

よく書いてくれました。👏 N党などが絡んだこの問題には関わらない、記事も見ない、という感じになっていました。兵庫県民の選挙という意思表示の結果での元知事の再選。

気が遠のくような思いをしています。

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