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有権解釈と技術的助言

  • 執筆者の写真: 代表 しがNPOセンター
    代表 しがNPOセンター
  • 5月1日
  • 読了時間: 3分

  しがNPOセンター                      

                代表理事 阿部 圭宏


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 公益通報保護法の改正審議に関して、衆議院消費者問題に関する特別委員会で議論が重ねられてきた。この中で改めて2つのことが確認された。一つが公益通報者保護法の有権解釈権は消費者庁が有すること、もう一つが、法定指針における体制整備義務は3号通報(外部通報)についても含まれていることだ。


 公益通報者保護法は、いかに公益通報者が特定されずに保護されるべきかが法律の趣旨であり、内部通報だけでは告発が握りつぶされ、告発者が不利益を被る恐れがあることから、外部通報についても同様の保護措置を求めている。


 兵庫県文書問題が公益通報に該当するかどうかの判断は、「文書問題に関する第三者調査委員会」調査報告書で公益通報に該当し、法律違反だと認定したことで決着するはずだった。ところが、兵庫県知事が認めようとせずに、第三者調査委員会報告への受け止め会見(3月26日)では、「3号通報が含まれるという考え方がある一方、内部通報に限定されるという考え方もある。我々としては適切に対応してきた」という答え方をしている。現行法解釈を間違っているで、整備義務違反があるとの認識を持っていないのだ。



(新緑 筆者撮影)
(新緑 筆者撮影)


 冒頭の特別委員会では、兵庫県知事が法解釈を間違っているので、消費者庁が技術的助言をすべきではないかとの議員の質問に、消費者庁は法解釈も技術的助言に入っているので、助言ができるか内部的に検討すると答えている。

公益通報者保護法のような全国的に同じような取扱いをするように求められている場合、消費者庁の有権解釈を超えるのは難しい。だが、もし仮に消費者庁から兵庫県に技術的助言が出された場合、それに従わなかったとしても罰則があるわけでない。兵庫県知事の暴走はどこまでいくのだろうか。


 そもそも、地方自治法に基づく技術的助言は、地方分権推進改革に当たって、機関委任事務を廃止する中で、国の関与を弱め、国と地方との関係に平等性を持たせるためにできた制度だ。滋賀でも、造林公社の債務に関する処理方法に関して、総務省から技術的助言が出されたことがある。



(新緑 筆者撮影)
(新緑 筆者撮影)

 沖縄県と国との辺野古沿岸域の公有水面の埋め立てについての争いも国と地方との関係を考える上で重要な事例である。知事が承認していた埋め立てを、事後に判明した事情等を理由に承認を撤回したことで、沖縄防衛局が国土交通大臣に対し、行政不服審査法に基づく審査請求をして、大臣が埋立承認取り消しを取り消す裁決をした。審査請求は国の機関がそもそも審査請求を行う権利があるのかという疑問も出され、国地方係争処理委員会でも勧告を出せずに、法廷に持ち込まれた。


 地方分権改革以降、国と地方の関係はどうなったのか。今の永田町や霞ヶ関を見る限り、分権はもはや過去の遺物のようにも見える。そうした中で、兵庫県の対応のような他の自治体から見ればいい加減にしてほしいと思われるようなことが続けば、ますます国の中央集権体制が強まってしまう。兵庫県知事は総務省出身であることを踏まえ、他の自治体の足を引っ張らないように身の処し方を考えるべきだ。






 



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