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執筆者の写真代表 しがNPOセンター

大津市は大丈夫か!

           しがNPOセンター

                     代表理事 阿部 圭宏


 大津市が9月議会に提出していた公民館をまちづくりの拠点となるコミュニティセンターに変更する条例案を撤回し、内容を見直した新案を再提出するという。


 市内36カ所の市民センターに併設された公民館をまちづくり拠点としてコミュニティセンターに転換するというという仕組みは、すでに草津市や東近江市でも行われているもので、地域に設置されたまちづくり協議会を指定管理者として運営している。必ずしも運営がすべてうまくいっているというものではないが、まちづくり協議会という仕組みが地域に根付くためのベースとなっているのは確かだ。


 大津市が進めようとしているコミュニティセンターへの移行は、まちづくり協議会への指定管理が前提であることから、本来、学区すべてにまちづくり協議会ができてから行うべきものだ。しかし現状では、協議会そのものはまだ1つもできておらず、準備委員会ができているのもわずか7学区という惨憺たるものだ。


 本当にまちづくり協議会をつくることの重要性が、市民にしっかり説明されているのだろうか。市としては、説明しているということなのかもしれないが、多くの市民には、なぜ必要なのか、どのようにつくるべきか、運営はどうするのかなどが見えていないのである。筆者も草津市や東近江市のまちづくり協議会立ち上げにあたり、説明会、ワークショップなどの開催にも関わってきたことから、市民の理解を進めるためにも、説明をていねいに行うことの大切さを実感している。


 大津市長が行財政改革の推進という視点から一方的にコミュニティセンター化を進め、安く地域で運営してもらおうとする考え方は、市長の新自由主義者たる姿勢を如実に表している。一律のコミュニティセンター化が議会で否決される雰囲気になると、学区ごとに設置できる時期を決められるものに修正して議案を再提出するというのも、いかにも地域自治をバカにした考え方に思われる。


 もし、修正案が議会を通れば、どういう状況が想定されるか。一部では、まちづくり協議会ができ指定管理が始まるだろうが、安い指定管理料が地域の不満を増大させ、地域でのまちづくりが推進されるかは先が見えない。一方、永久にまちづくり協議会が立ち上がらない地域がかなり残るのではないか。そうなると、その地域は切り捨てられてしまうだろう。まさか、こんな案に賛成する議員がいるのだろうか。


 5月のコラム「大津市の支所統廃合とまちづくりの課題」でも指摘したとおり、地域自治の仕組みがしっかりと地域に根付くには、順番を間違うとうまくいかない。


 まずは、この2年間で、すべての学区にまちづくり協議会を立ち上げてもらって、市として一定の活動費を渡すということに専念すべきだろう。それをベースに、コミュニティセンター化をして、まちづくり協議会を指定管理者になってもらう。その場合、地域のまちづくりを担うべきコミュニティセンターのスタッフには、しっかりとした給与を出せるような指定管理料の設定でなければならない。


 このままの強行は失敗する。地域自治推進の原点に立ち返り、市民も議会も行政も知恵を出し合って取り組むしかない。


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