大阪市の3度目の住民投票を考えよう
- 代表 しがNPOセンター
- 6月1日
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しがNPOセンター
代表理事 阿部 圭宏

大阪府知事で日本維新の会の代表である吉村洋文が、来年春の統一選に合わせて実施される次期知事選へ住民投票の同日実施を条件に出馬表明した。
2回否決され、3回目は実施しないと言ったにも関わらず、前のめりになってやるとのことだ。大阪では圧倒的な支持を集めている維新が主導しているにも関わらず、住民投票が2回も否決されたことは、大阪市民にとっては都構想というものへの疑念が消えていないということだろう。
そもそも「大阪都構想」というのは、2012年に成立した「大都市地域における特別区の設置に関する法律」が根拠となっている。同法によると、道府県の区域内において、政令指定都市と隣接自治体の人口が計200万人以上の地域が、市町村を廃止して特別区を設置することができると定めている。手続きとしては、道府県と基礎自治体は特別区設置協議会を設置した上で特別区設置協定書を作成し、各自治体の議会による協定書の承認を経たのちに、関係市町村の住民投票で過半数の賛成を経た上で、市町村を廃止したうえで特別区を設置する手順となっている。

これを見て分かるのは、大阪市を廃止して、いくつかの特別区を設置するだけのことであり、大阪府が大阪都となるものではない。大阪市は指定都市(一般的には「政令市」という。)であり、都道府県に匹敵する多くの権限を持っている。指定都市は全国に20市あり、その歴史は70年にもなり、所在府県との関係を含めて都市運営の基本的なことが蓄積されてきた。一方、特別区は東京都の23区しかない。人口は1000万人近くにもなっているが、基礎自治体が持っている水道、ごみ、消防などの業務は東京都が行っている。また、個人住民税は徴収できるものの、固定資産税や法人住民税は東京都が徴収して財源調整して特別区交付金として配分されている。世田谷区の人口は約95万人もあって、政令市になれるような規模であり、これ以下の県は8つもある。
結局、大阪都構想というのは、大阪市が解体されていくつかの区に分割されることにより、その権限を大阪府が吸い取るだけで、二重行政とかそんな問題ではなく、大阪市民にとっては何もよいことはないのだ。

もう一つ言っておきたいのが、同日選の歪みである。2月の総選挙にあわせて知事市長のダブル選挙が行われたが、選挙期間は知事選挙が17日、市長選挙が14日、衆議院選挙が12日間と選挙によって異なることを利用して、実際に行われたことがある。知事選挙や市長選挙が告示されると、その応援と称して衆議院議員候補者を選挙カーに乗せ話をさせるということが行われていた。他の選挙を利用した事前運動である。
住民投票と知事選挙、市長選挙の投票日を合わすことは、もっとひどい状況を作り出す危険性がある。本来、自由闊達に行われるべき住民投票運動が制限を受ける。住民投票運動は公職選挙法と違い、あまり制約を受けないが、同日選挙になることで公職選挙法の制約がかかる。例えば、公職選挙法では個別訪問の禁止、文書図画(ビラなど)の配布制限など選挙運動は厳密に規定されている。これに引っ張られて、自由闊達にできるはずの運動が制限を受けることになる同日選挙は民主主義を破壊することにつながる。




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